“レンタル障がい者” 微妙だけど・・・

ニュース旅行

今月10日、こんなツイートが話題となっています。

るい🐙 (@IurUzus) on X
【レンタル障がい者】というサービスを始めます。 美術館や博物館、水族館、映画館など、その他の施設で『障がい者を介助したいシーン』でご利用ください。かかった交通費だけもらいます。障がい者手帳を持っているため、施設の利用料は介助者ともに割引され...

世間では、これを不正行為とか制度の趣旨に反しているなどと言われておりますが、まずは、障害者手帳と割引制度の関係について紹介いたします。

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障害者手帳って何のため?

そもそも障害者手帳は、障害をお持ちの方のために自立支援や日常生活の支援などを受ける際の資格証明として、自治会から発行されるものです。

障害者手帳
障害者手帳について紹介しています。

この証明書があると次のようなことができます。

  1. 生活支援・就労支援などの福祉サービスを受けられる
  2. 障害者雇用求人に応募できたり、雇用率に算定できる
  3. 税金が減免される
  4. 障害者向けの割引サービスが利用できる

※3と4については一部のみとなります。

障害者手帳には3種類があり、身体障害者手帳・療養手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類があります。
いずれも発行基準があり、合致していれば自治体から発行されます。
また申請の際には、医師の診断書が必要です。

有効期限は、精神障害者保健福祉手帳は2年間、身体障害者手帳・療養手帳は無期限です。

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障害者割引について

障害者雇用数は2022年(令和4年)現在でも70万人程度しかおらず、そのほとんどが低賃金で、多くは生活保護や障害年金で生活しています。
これに加え、障害者が生活していくためには、宅配や補装具のメンテナンスなど余計な出費を必要としています。

こうした状況を踏まえ、行政や各企業が障害者の生活や外出を支援すべく、障害者に対して割引制度を用意しています。

具体的には

  • 交通機関の割引
    (精神障害者は多くが対象外)
  • 公共施設の割引
    美術館・公園など
  • 民間施設の割引
    レジャー施設・カラオケ・映画館など
  • 障害者向けのサービスの利用
    航空会社が提供する事前改札サービスなど

です。

手帳の種類・級数によって割引対象や割引率が異なる場合もあり、事前に各事業者・施設への問い合わせが必要です。

参考までに以下のサイトを紹介します。

Forbidden - 忍者ホームページ
障害者手帳で行こう!~全国版~
全国17086件の障がい者割引のある施設や各種減免制度の情報を独自に調査し掲載。アクセスマップや公式サイトへのリンクやバリアフリー情報もあります。お出かけや毎日の生活に役立つ情報がいっぱいです。

上記のサイトには障害者割引を提供している事業者や施設が掲載されており、割引内容や連絡先などが紹介されておりますので、ご利用の際は事前に確認いただけます。

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何が問題?

今回のレンタル障がい者の何が問題なのか、それは・・・

「制度の悪用ではないか?」
「倫理観がおかしい!」
「事業者に損害を与えているのでは?」

などなど(ほかにあるのなら教えてください・・・)

 

しかしこの問題については以下の反論があります。

  1. 障害者手帳を他人に貸す行為は詐欺罪に当たるが、”レンタル障がい者”はあくまで障害者本人と”介助者”として同伴することが条件
  2. “レンタル障がい者”を使う条件として交通費の負担を求めており、見方を変えると障害者の外出を経済的に支援していることになる
  3. 介助者の法的な定義はなく、あくまで想定
  4. 障害者手帳による本人確認は行われるが介助者の確認は行われず、障害者の自己申告で判断する
  5. 公的な支援サービス(同行援護・行動援護)の使い勝手が悪い(最低でも1か月間の契約になる・申請手続きが大掛かりになる等)
  6. “レンタル障がい者”が倫理的に問題なら、障害者と健常者を分ける「分離教育」も同じように問題である

ここで白黒つけるには根が複雑なので、控えておきます。
少なくとも、問題の背景は理解してから議論することをお勧めします。

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“レンタル障がい者”のメリット・デメリット

“レンタル障がい者”を利用するうえで障害者・健常者双方にどんなメリットがあるのか考えてみます。

メリット

障害者側

  1. 交通費を健常者が負担することになるので自己負担が軽くなる
  2. 誰かがついてきてくれるので安心できる

健常者側

  1. 障害者と同伴することで、通常料金の半額または無料で利用できる。
  2. 障害者の日常生活の困難さなどを理解することができる

デメリット

障害者側

  1. 相手が不届きものの場合、思わぬ被害を被ることがある
  2. 将来的に廃止されたりして不利益を被ることがある

健常者側

  1. 割引の利用条件が複雑なため、大して節約にならないことがある(”障害者本人のみ対象”の施設が多い)
  2. 交通費の負担は必須
  3. 障害者の体調が悪化した場合や第三者に危害を加える等のトラブルが発生した場合、”介助者”として対処させられる。場合によっては何らかの責任を取らされることになる。
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「障害者の外出機会を増やす」「共生社会のため」という趣旨で賛成する人も・・・

一方で、このやり方に賛成している人たちもいます。

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
ひろゆき (@hirox246) on X
真似して、多くの障碍者が町に出るようになったほうがいいと思うので「レンタル障がい者」支持派のおいらです。
ひろゆき (@hirox246) on X
家族に障がい者がいる人以外は、介助経験がない人がほとんどです。 健常者だと気づかないような段差の大変さはレンタル障がい者サービスでも使わない限りわかりません。 どんな形であれ、介助経験を積む機会は増やしたほうが良い。 止めようとする厚労省は...

要は、問題はあるかもしれないが、健常者と障害者のギャップを埋められるのなら積極的に進めるべきという趣旨のようです。

ただ、あくまで介助者の支援のために用意された仕組みを使って、見ず知らずの人に”同伴すれば安くなる”と持ち掛ければそりゃ印象悪くなりますわね。

もっとも、この意見には障害者と健常者を分断してきた現実が考慮されておりませんので、障害者と健常者の相互理解を深めるきっかけとして使えるのかもしれないですが、こんなにも批判があるものを真正面から勧めるわけにもいきませんので、これくらいにしておきます。

ちなみに、私は精神障害者手帳をもっています(3級)ので、やろうと思えばできます。
そんな奇特な人間がいるとは思えませんがね。

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