ここ最近、マイナンバーカードのトラブルが相次いでいるようですが、一方で実際に活用されている事例があまり伝わっておらず、そもそもトラブルの中身すらよく伝わっていないようです。
一体どういうことでしょうか?
主なトラブル 実際は作業ミス?
トラブルの中で最も多く取り上げているのが「情報の誤登録」で、その多くが申請と異なる情報が登録されていたとのことで、どうも原因としてはテストを十分に行っていなかった事のようです。
ところが、メディアではマイナンバーのシステムそのものが欠陥のごとく言われているようですが、よく調べずのペラペラしゃべっていて、利用者に正しい情報を伝えるべきがどうもねじ曲がって伝わているために「マイナンバーカードを廃止しろ」という声が上がっているようです。
マイナンバーカードの活用例を”黙殺”しているメディア
一方で、マイナンバーカードを実際に活用されている例をメディアが取り上げている例が全くなく、まるで役に立たないカードとして取り上げられているという全く不公平な状態となっています。
これにより、実際に活用している人たちを置いてきぼりにしたまま、マイナンバーカードが廃止されていくのではないかと心配している人たちがそれなりに出てくるのは間違いないと思います。
その中で最も大きい被害を受けるのが皮肉にも障害者です。
マイナンバーカードの活用例
実際にどう活用されているのか見てみましょう。
ミライロID(障害者手帳アプリ)
紙やカードで発行されている障害者手帳をスマートフォンに登録して、画面から見せるためのアプリとして「ミライロID」があるのをご存じでしょうか?
このアプリを使用することで取り出すのに手間がかかる障害者手帳を使うことなくスマートフォンの画面だけで障害者割引を受けられたりすることもできます。
この情報登録の際にマイナンバーカードが利用されています。
詳しいことはホームページを確認していただきたいところですが、障害者手帳を登録後にマイナンバーカードを登録することで、障害者割引を利用する際の本人確認ができるようになります。
事業者の中には、マイナンバーカードの登録がなければ障害者割引を適用しないこともあるようで、割引を受けるためにはマイナンバーカードを登録する必要が実質的には生じてきます。
このため、事前にマイナンバーカードを発行をしなければなりません。
えきねっと等の列車予約サービス(2024年2月予定)
2023年7月、JR東日本とJR西日本から「えきねっととe5489で障害者割引乗車券のネット購入が行えるようにする」と発表がありました。
購入の際には事前に障害者手帳の情報を入力する必要がありますが、その際にマイナンバーカードが必要で、詳しい内容はわかりませんが、登録すれば障害者割引を適用した乗車券がネットで購入できるようです。
将来的には、駅利用時の介助の予約もできるようになるそうです。
窓口に行かなくても本人確認できる便利さが障害者には必要
以上のことができる理由は、マイナンバーに障害者手帳の情報が紐づけられており、これを記録したマイナンバーカードを活用することで、障害者であるかの確認を障害者手帳なしに利用することができるからです。
ミライロIDでは障害者手帳を相手に見せる必要がありますので、障害者手帳を写真で撮影しなければなりませんが、列車予約ではどうもその必要はなく、ネット上で登録ができるようになるそうです。
このように家にいながらでもマイナンバーカードを利用して情報登録や本人確認ができると、外出が難しい障害者(車いす利用者・視覚障害者・パニック障害等で家を出るのに注意が必要な方等)にとっては十分に恩恵を得ているにもかかわらず、健常者側がこのカードは危険だからと、一方的にマイナンバーカードを廃止するのはある意味障害者に不便を強いるだけにしかならないため、れっきとした差別となります。
障害者手帳にマイナンバーカードと同じものを入れてしまえばよいという意見もありますが、すでに発行されている以上二重投資にしかならず、その費用を障害者から得ようにも、多くの障害者は無職で収入がなく、年金や生活保護で生活している状況を考えれば、さらなるコストをかけて新しいカードを作るメリットはまずありません。
だったら今のままマイナンバーカードを存続させればいいだけで、その方がコスト的にもちょうどいいと思います。
様々な人たちからどのように使っているのか、実際の例を知ることなくただマイナンバーカードは危険とあおるのはあまりに不公平で、その被害を障害者が受けるのは理不尽の極みです。
いい加減な議論はやめて、利用している立場の人にも目を向けていただけないかと思います。