障害者の仕事は、生産性を目の前に消滅する!

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かねてから、障害者雇用の機能不全と欠陥を指摘したこのブログですが、それが現実のものとなったようです。

障害者1200人の仕事なくなる!? ヤマト・日本郵便の提携余波 「2024年問題」ここにも<ニュースあなた発>:東京新聞 TOKYO Web
「厳しい現場で暑い日も寒い日も働いてきた障害当事者の仕事がなくなってしまうことが残念でなりません」。東京都の障害者通所施設から、本紙「...

2024年問題に対処するために計画されたヤマト運輸と日本郵便との提携が思わぬ方向に走った結果ですが、果たしてそうなのでしょうか?

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既存のシステムを使った方が安い!

これまで”クロネコDM便”は、ダイレクトメール・カタログなどを自社で引き受け・配達を行うサービスで、配達には一部ではありますが障害者施設に委託する形で配達を行ってきました。

障がい者のクロネコDM便配達事業

ところが、2024年から始まる”クロネコゆうメール”では、サービスは”クロネコDM便”とほぼ同等ながら荷物はクロネコヤマトが引き受け、配達は日本郵便が担当することになり、この際に配達に従事した障害者施設が一斉に契約を解除されることになりました。

これは、トラックドライバーの残業規制などで生じる”2024年問題”で、少しでも利益を確保するための措置で、これにより日本郵便の既存のサービスに相乗りすれば配送コストが劇的に下がり、結果的に利益の確保ができるためです。

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荷主が運賃値上げを容認しないせいで、障害者の仕事が奪われる!

この背景にあるのが、残業時間規制等による労働者不足と荷主の低運賃指向の板挟みがあり機械化やサービスの削減などで何とか利益を確保し、その分をドライバーの賃金に充てることで労働者不足を解消しようというのが上記のようなライバル同士の提携にあります。

そのため

  • ドライバー不足を解消するには賃金をげなくてはならない
  • 賃金を上げるには運賃を値上げしなくてはならない

が本来行われなくてはなりませんが、実際に行おうとすると

  • 荷主は運賃値上げを拒否
  • ただでさえ物価が上がっている時に運賃値上げを行うとさらに物価が上がる。

という、負の側面が出てきてしまうため、企業は生産性の向上の下で、事業の見直しや提携を推進しています。
当然、不要な仕事が出てきてしまい、そのために仕事ができない人ほど解雇や退職勧奨が起こってしまいます。
これが、障害者の雇用を奪ってしまう原因です。

荷主が運賃値上げを容認していればこのようなことにはならなかったはずで、結局のところ障害者の雇用を奪ったのは荷主だったことになります。

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このまま生産性を上げてしまうと障害者雇用はどうなるのか・・・

この流れは物流に限った話ではありません。

少子化で労働者不足が深刻になっていく中で、その分を生産性向上で穴埋めしようとすると、必ず出てくるのが“働くの力のない人はどうすればいいのか”という問題。

生産性を上げる場合労働者に求められる能力の基準が上がるうえ、なんでも仕事をこなすマルチタスクが幅を利かせるようになります。
そして残りの仕事を機械化させることで単純作業を削減していきます。
障害者はこの単純作業に従事していることが多く、このまま何の手当もなしに機械化を進めると障害者の仕事がなくなり、ただ会社に居座り続ける、それも障害者雇用の義務で仕方なく居座らせなくてはならないという、企業にとっても健常者にとってもとても納得しがたい状態となり、このまま放置すると健常者からとてつもない攻撃を食らうことになります。

だからといって、B型作業所のようにただ物を作っているだけだったり、代行ビジネスのように違法すれすれの状態のところに障害者を突っ込むと、単に金がかかるだけでの存在にしかならず、結局これも健常者からの攻撃材料となります。

これ以上障害者雇用を進めようにも、雇うだけで多額のコストがかかり、国の支援制度を利用するにしても“得にも損にもならない制度”では雇うメリットがなく、結果として“単にお荷物を雇っただけ”という何がしたいのかわからないことになってしまいます。

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“あきらめない”のツケ

この問題については私も思うことがあり、このために本ブログでいくつか記事にしてきたのですが、結局のところ障害者雇用は何らかしらの理論があるわけでも、何らかの合理性があるわけでもなく、ただ単に「障害者も働けるはず」という感情的な判断によるもので政策がすすめられてきたのではないかと思っております。

実際に国は過去に障害者雇用数を水増ししていたことがあるように、国も正直「障害者なんて雇いたくない」と思っているのではないかと思うのですが、これを認めると「国が障害を差別した」と非難されかねないため水増しに走り、誰からも非難されず障害者の雇用を抑えることで障害者雇用義務に抵抗したのではないかと思います。

要するに最初からやる気がなかったわけで、そんな人たちが障害者雇用政策を考えるだけ無駄でしかありません。

企業もまた似たようなことをしています。

障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について

大半の企業は障害者雇用を熱心に行っているようですが、ごく一部は「仕事が捻出できない」「合理的な配慮が難しい」など様々な理由をつけて障害者雇用に躊躇しているがゆえに雇用率が未達成という状況ではないかと思われ、結局のところ障害者雇用は”ただコストを上げるだけのマイナス要因”でしかないということです。

B型作業所に押し込めるにしても、作業所に仕事を発注するのはまれなもので、代行ビジネスは偽装請負に近い形で運用されているために、回避するためにはかなりのコストがかかる(農産物を販売するためにわざわざ企業に引き取らせる等)ため、このままだと障害者雇用は消滅してしまうのではないかと思います。

その時は、障害年金の増額や生活保護の受給を検討しなくてはなりません。

そのようなこともせずに、ただ障害者の雇用をガンガン進めようとして、非効率な政策を推進しているのでしたら正直障害者としては大変迷惑な話で、このことによって「働け!ただし他所で」という矛盾した主張をする健常者が現れてしまい、結果として障害者が苦しむことになると思います。

いい加減無理なものは無理!ときっぱり断言するべきで、これ以上障害者を苦しめないでほしいと思います。

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